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ネットショップを始める前に知っておくべきたった3つの重要なこと その3 【人的リソースの確保】

前の記事の続きです。

ネットショップを運用するリソースはあるか

念願のネットショップ開業まであと少しです。

これまでの記事で、ニーズを把握して売れる商品を選定し、続けて市場調査と競合調査を行い、徹底した差別化による自店舗のビジネスモデルを策定しました。

商品を確保する目処も立ちました。後は始めるだけ!ですが、最後に、ネットショップ運営に必ず必要になる「人的リソース」について説明します。

いくら優れたビジネスモデルを構築しても、継続して運用する人間がいなければ、絵に描いた餅になってしまいます。

人的リソースの定義 

ここで人的リソースを定義します。

まず、リソースとは何でしょうか。

リソースとは、一般的に資源や資産のことです。ビジネスにおいては、お金や人、情報、時間など、会社(組織)が持てる資源全般のことを指します。

人的リソースとは、あなたの会社(組織)の、あなたを含めたスタッフの知識、スキル、経験、能力などです。あなたやスタッフの「知識」「スキル」「経験」「能力」は、会社にとって重要な資産です。

ネットショップは自動販売機ではありません。会社が持てる人的リソースを、適切に割り当てることができなければ、早晩開店休業状態に陥ってしまいます。

ネットショップを効率的に運用するテクニックのようなものを期待してこの記事に辿り着いた人には、がっかりする内容かもしれません。

しかし、20年間ネットショップを運用してきた経験から、ネットショップもネットショップ以外の事業も、結局大事なのは【人】なんだということに気づきました。

最初から気づいていたわけではありません。

たった1人で自宅の一室から初めたネットショップが、ビルの一階と二階の全フロアを、スタッフの机と商品在庫で埋め尽くされるぐらいには成長した時に、どうしても売り上げ3億円の壁を越えられない時期が2年ほどありました。

悩んだ末に辿り着いた、僕なりの答えが、「必要な仕事に、必要な人的リソースを確保する」という当たり前のことだったのです。

ネットショップの業務は大きく分けて二つ 

会社は、売上を上げる直接部門と、直接部門を支える間接部門とに別れています。例外はあるかもしれませんが、ほとんどすべての会社がこの構造を持っています。

直接部門は、普通の会社で言うところの営業です。例えば住宅会社であれば、営業部門がチラシやモデルルームなどで集客して、見込み客に営業して受注を取ってきます。

ネットショップの場合は、検索エンジン対策やネット広告を駆使して集客します。クロージング(営業して注文を取る)はウェブサイトが行いますが、ウェブサイトを作る仕事があります。

要するに、消費者が目にする部分を担当するのが「フロントヤード」です。

対して、間接部門は直接売上にかかわらない部門のことを言います。「総務」や「経理」などです。ネットショップであれば「受注」「顧客対応」「在庫管理」「梱包」等に携わる部門のことを指し、「バックヤード」と言います。

フロントヤード 

ネットショップの業務のうち、ユーザー接する部分を設計/構築する、売上を作る仕事

  • 市場調査、競合調査
  • サービス設計
  • サイト設計・サイト制作
  • 検索エンジン対策
  • 広告運用
  • プロモーション

バックヤード

ネットショップの業務のうち、売上を作らない部分の仕事

  • 受注対応
  • 顧客対応(問い合わせや、クレーム対応等)
  • 出荷作業(ピッキング、梱包等)
  • 在庫管理
  • 発注管理
  • 伝票処理等の経理事務

最初は一人でもできる

ネットショップ専業であれば、これらを最初は一人で行なうことも可能です。

ビジネスモデルを作り、ネットショップを構築、注文が来たら受注処理と顧客対応を行い、梱包して出荷する。

僕も最初は一人でやっていました。しかも副業で。

本業(自動車を作る工場に勤務してました)の傍ら、仕事から帰ってきて寝るまでの時間を、ネットショップの仕事に費やしていました。ご飯を食べているときと、寝る時間以外はすべて仕事の時間でした(笑)

出荷伝票はすべて手書き、梱包材は新聞紙。在庫管理はエクセルで行い、サイトもHTMLをテキストエディタでタグ打ちしてました。注文が入るとメールで確認し、注文管理は市販の受注管理ソフトを使っていましたが、手動で注文を打ち込んでいました。

自分でもよくやっていたなと思いますが、その頃は20代で体力が有り余っている時期でしたから、こういう無理も出来たんだと思います。

しかし、注文が日に20件を超えるようになると、それこそ寝る暇も無くなるぐらいネットショップの仕事に忙殺されるようになり、完全に自分のリソースが不足するようになってしまったのです。

独立、法人化

注文数が日に20件を超える頃には、本業の給料より利益を出すことが出来ていたので、思い切って仕事を辞め、独立することにしました。

その辺の経緯はまた別の記事で詳しく書こうと思います。

法人化のタイミングで、バックヤードの仕事をやってもらうスタッフを一人、二人と増やしていきました。

最初は経理事務を妻に頼みました。妻はそのまま現在も会社の取締役になっています。

次に、梱包と在庫管理を担当するスタッフ、受注と顧客対応を担当するスタッフと、ひとり、ふたりとバックヤードの人員から増やしていきました。

売上が1億円を超える頃から、役員報酬を上げ、普通のサラリーマンでは稼げない額の給料を得るようになり、事業もEC市場拡大の波に乗り右肩上がりで、会社は無借金経営、スタッフのボーナスも破格の額でした。

僕は有頂天になっていました。

しかし、思わぬ落とし穴がまっていたのです。

僕が間違いに気づくのはもう少し後です。

拡大期と停滞期

法人成りしてから10年間ほどは、毎年150%前後の成長を続けてきましたが、売上が2億円を超える頃から、成長のスピードが鈍くなってきました。

その頃は、ネットショップを4ブランド、自社サイトやモール店を合計すると20サイト近くも運営するようになっていました。

スタッフは、受注&顧客に2人、写真撮影と商品ページアップに2人、梱包・出荷作業に3人、仕入れや在庫管理に1人、総務・経理に1人、という体制でした。

その他の、【市場調査】【競合調査】【コンセプト設計】【商品/サービス設計】【サイト設計・制作】【検索エンジン対策】【広告運用】【モール等の仕様変更の対応】その他プロモーションを含むマーケティング全般の仕事は、僕が一人でやっていました。

そうです、フロントヤードの仕事を僕一人がすべて行っていたのです。

僕以外のスタッフは、全員バックヤードの業務に就いていました。

さらに、【バックヤードの構築】【人事、社員教育】といったマネジメントの仕事も、人が増えるに従ってやることが増えてきました。

働けど働けどやることはなくなりません。寝る暇もない副業時代に逆戻りです。やるべき仕事が進まず、売上が下がる店舗が出てきました。

ネットショップは綿密な市場調査や競合調査を行い、コンセプトを設計し、サイト制作を行って、無事にサービス開始した後も、常に競合調査や、ページと、広告のクリエイティブのブラッシュアップ、サービスの改善を続ける必要があります。

しかし、自分のリソースが完全に足りず、競合店の出現や、市場の変化に対応することが出来なくなっていました。

属人化による壁

そこで僕は、自分ひとりで抱えてきた仕事を、バックヤードのスタッフに教えることにしたのです。

しかし、その工程は困難を極めました。

マニュアル化していたバックヤードの仕事とは異なり、フロントヤードの仕事はマニュアルがありません。

HTMLや競合調査を教えてみたものの、教えられた仕事しかできませんし、自分で課題を見つけたり、改善していくということが出来ません。

200数点に及ぶマーケティングのスキルを見える化し、理解度に応じてインセンティブを給料に反映するスキルアップ制度を導入したり、日報制度も取り入れたりしましたが、僕がやっていた仕事は誰一人としてできるようになりませんでした。

いわゆる属人化が起こっていたのです。

属人化とは、特定の業務の内容や進め方を特定の社員しか把握していない状況を指します。

ネットショップのフロントヤード、特にマーケティングの部分は非常に専門的な業務であり、長くその業務を社長や、マネージャーが独占することによって、業務が分散せず、結果として属人化するケースが非常に多いと思います。

僕の会社の場合も、社長である僕が忙しさにかまけて人を育てるということから、目を背けていたことが、属人化を招いた原因でした。

業務分担は縦割りをおすすめする理由

ようやくこの属人化をなんとかしなければならないと気づいた僕は、業務を縦割りにすることにしました。

バックヤードに携わっていた社員から、3人選抜し、会社で運用していた4つのショップブランドのマーケティングをひとりずつ任せることにしたのです。(残る一つは僕が担当)

これまでのバックヤードの仕事は一切させないようにし、マーケティングを行なう部署を新設し、「ブランドマネージャー」という肩書を与えました。

ブランドマネージャーは、ショップブランドのマーケティングと仕入れの一切を請け負います。しかし、必要となる知識は、担当ブランドで扱う商品と市場だけになります。他のブランドの情報は不要です。

さらに、週に1回、マネージャーが集まって戦略を共有する会議を開き、ブランドごとに課題を認識し、タスクに落とし込みました。

マネージャーは、担当するブランドのメルマガを書いたり、セール企画を立てたり、競合調査をしてサービスの改善に取り組みます。商品撮影や商品ページのアップも行い、仕入れも担当者権限で行えるようにしました。

4つのショップブランドのマーケティングを、僕1人で回すのではなく、僕を含めた4人で回るようにしたのです。

もちろん僕のやっていた仕事の1/4ですから、当然一人あたりの生産性は落ちます。しかも、彼らがそれまで担当していたバックヤードの仕事に、パートタイマーのスタッフをあてがったりしたので、コストは一時的に増えました。

しかし、半年もすると、僕が1人でやっていた頃に比べ、4人でやったほうが圧倒的に速く仕事を片付けられるようになったのです。それは劇的とも言える変化でした。

こうして、僕はマーケティング部門全体のマネジメントと、バックヤードのマネジメントに専念することができるようになり、各マネージャーが絶え間なく担当ブランドのマーケティング施策を回すことができるようになった結果、横ばいだった売上が、また右肩上がりに伸びるようになったのです。

まとめ

以上、長々と書いてしまいましたが、ネットショップを始める前に絶対知っておいてほしい、人的リソースをどうやって確保するか、どうすれば効率的に、継続的に売上を上げていくことができるのかということを説明したつもりです。

この章をまとめたいと思います。

  • 優れたビジネスモデルも、運用する人がいなければ絵に描いた餅
  • 最初は一人でもできるが、売上規模に応じて人的リソースを確保すること
  • ネットショップの業務は大きく分けて二つ。「フロントヤード」と「バックヤード」
  • 属人化を避けるために、業務を縦割りする

「ネットショップを始める前に知っておくべき重要なこと」を全4回に分けて解説してきました。

あなたがネットショップを始めるときの参考になれば幸いです。


この記事を書いた人
ブーブー(BooBoo)

2003年にネットショップを始め、以来ずっとEC専業の事業会社を経営しています。2023年には創業20年になりました。2014年にWebサービスの会社を立ち上げて役員を9期務め、2024年には、ECのコンサルティングを行う会社を新たに設立して代表に就任。これまで一貫してウェブ畑を歩いてきました。ニックネームは大好きな小説の登場人物から。

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