みなさんは人とお話をするときにメモは取りますか?
本サイトはネットショップの店長向けでありますから、ビジネスシーンに限って書くつもりですが、打ち合わせや会議の時にメモを取る、という行為について僕が思うところを述べたいと思います。
なぜメモを取るのか?メモの目的を考える
人と話をする際にメモを取る目的として、考えられるのは何でしょうか。
聞いた話を忘れないためにメモを取る、あるいは話を真剣に聞いている姿勢を示すため、大体こんなところかなと思います。
でもよく考えてほしいのです。
聞いた話を忘れないようにメモを取る、という行為は、「聞いたことを忘れる」ということが前提になっています。
エビングハウスの忘却曲線を思い浮かべてもらえばすぐわかりますが、確かに人は忘れます。忘れる生き物です。しかし、数秒前に聞いた内容を忘れながら会議することなんてできないでしょう?そもそもそんな状態では会話が成り立ちません。数時間であれば聞いたこと、話したことの大半は覚えているはずです。
僕の会社では、社員に、「人の話の最中にメモを取るな」と言っています。「人と話をするときは、その場で何が何でも理解するつもりで話を聞け。わからなければその場で聞け。」と言っています。
メモを取る人ほど話の内容を理解していない
そんなことを言うようになったのは、話の最中にメモを取る人ほど話を理解していない、という僕の苦い経験があるからです。
これまでいろいろな社員を雇用してきましたが、話の最中に目線を落として、メモ帳に何かを書きつけるような人は、ほぼ例外なく話の内容を理解していません。後で理解することが目的でメモを取っているからです。
そのくせ、理解したつもりになって話の後にメモを見返すということをしません。メモを見返すのは、すっかり忘れた後です。「あの時社長なんか言ってたな。メモしたはずだ」と、なるわけです。
しかし、理解してないし、話した内容も忘れているわけですから、メモを見ても、自分で書いたはずのメモの内容が理解できません。
例えばこういうことです。
僕が、「決済方法がキャリア決済の時に、注文後の金額変更は減額なら可能ですが、増額は注文管理画面では不可です。決済代行会社の管理画面でしかできませんよ」といったとします。
話の途中にメモを取る人は、大急ぎでメモ帳に ”キャリア決済 金額変更不可 増額” などと書き込みます。
後日、すっかり忘れてから、キャリア決済の金額変更の依頼があって、初めてこのメモを見返すのです。
あれ?金額変更不可なのか?この間は減額できたけど。おかしいな。やってみよう。あ、やっぱりできないや。えっと確かメモとったはずだ。どこだっけ。あった!これだ。ふーん。キャリア決済の時は増額の金額変更はできないのか。そうかそうか。メモを取っておいてよかった!
と、誤った理解をすることになります。決済代行会社の管理画面に行けばできるのに。
こういう社員をたくさん見てきました。ちゃんと説明したじゃないかと。
学習とは復習です
そもそも学校教育からして間違ってるの思うのです。一生懸命ノートを取らせる。これは復習が前提になっているからです。
確かにその日学校から帰ってからノートを見返すということをすれば、記憶は定着していきます。下図はエビングハウスの忘却曲線に復習の効果を書き加えたもの。
でも、僕の子供たちもそうでしたが、部活やら塾やら宿題で忙しくて、その日に書いたノートを見返すようなことをしません。
子供たちのノートを見ると、それはそれはきれいにびっしりと整理して書いてあります(笑)
これを先生の話を聞きながらやるのですから、その場で理解などできるわけないと思うのです。ノートを取るのに精いっぱいなんじゃないでしょうか。
商談や会議の時に、一生懸命メモを取る人ををみると、こいつとは仕事するのをやめようと思ってしまいます。
まあまだメモなら良いほうです。突然スマホになにか打ち込んだりする人もいますから。スマホの画面に目を落とした人に向かって何を話しても無駄です。
とはいえ、いくら僕が話の途中にメモを取るのはやめろと言ったところで、人は忘れるじゃないか。メモを取らなきゃだめだろ!と納得しない人がほとんどです。かくいううちの社員もそうなのですが(笑)最近はようやく理解してくれるようになったかな。
メモを取りながら話を聞くのが正しいという風潮
あなたの周りにはメモを取らないことを咎める上司もいるでしょう。この間言ったよね?メモ取ってなかったの?という上司です。というかほとんどこのタイプの上司だと思います。東アジアの某K国の指導者はメモを取らないと激怒するとか。。
僕はメモを取るなと言っているわけではないのです。”人の話を聞いている時にメモを取るな”と言っているのです。
メモを取るのは、会話の後です。会話の後に会話の内容を整理してアウトプットするのです。このアウトプットするという行為が、最も記憶の定着に効果があります。学校の復習と同じです。
人の話を聞くときは、その場で絶対に理解するという姿勢で話を聞いてください。分からないことはその場で聞いて、理解しましょう。
例外的に、メモを取ったほうが良いこともありますが、ほんのごくわずかです。例えば「当社に来社されるときは、インターホンで秘密の合言葉を言ってください」というようなことを言われた場合、秘密の合言葉は話の筋とは関係ありませんし、一字でも間違えたらアウトです。そういう場合のみメモしてください。
また、メモを取ることを強要する上司、あるいはメモを取らなければいけないような雰囲気の話し合いの時は、メモ帳とペンを手にするだけでよいです。メモを取るフリです。メモを取るフリをしながら話を聞いてください。絶対にメモを取る行為が主となってはいけません。
話が終わったら話の内容をアウトプットする
では実際にアウトプットはなにをするのか。
会議が終了したら、自分なりに整理して議事録を作るのです。これがアウトプットです。
議事録は発言順にする必要はありません。順番に意味はないからです。要点をまとめて書き出すだけでいいのです。
重要な会議の後は、必ず議事録を作ったほうが良いです。できれば会議のすぐ後、2時間以内に行ってください。遅くともその日のうちに。メモなど取らずに話を真剣に聞いていれば、話の内容の大部分は覚えているはずです。
議事録を残したら、内容を無理して暗記する必要はありません。暗記は無意味です。議事録を残すことで会話の一字一句を覚えていなくても、会話の要点は理解し、把握しているからです。
まとめ
- 人と話をするときはメモを取らない。絶対にその場で理解するという姿勢で話を聞くこと
- 会話の後に、要点を整理して議事録を残しておく。(アウトプット=理解と記憶の定着)
- 相手の心象をよくするために、メモを取る用意はしておく。
以上、話の途中でメモを取るなという話をしました。
ですがメモを全否定しているわけではなく、むしろそれ以外の場面でメモを取ることは大いに奨励します。
アイデアを書き留めたり、情報を整理したり、タスクを整理したりetc.
上手にメモを活用して仕事の効率を上げていきましょう。